この記事ではリーダーに必要不可欠な内省スキルについて紹介します。
優れたリーダーは内省のスキルを持ち合わせています。では、その優れたリーダーがどの様に内省活かしているのかをこの記事で整理していきます。もし、組織の中で優れたリーダーがどの様に内省を活用しているのかについて知りたいという方は是非この記事を御覧ください。
はじめに
こんにちは 悩みや不安を前向きな行動に変える内省の専門家のタカシユウトです。
組織論、特に内省についての研究をし、ウェブサービスの開発やワークショップの開催をしています。
このブログでは、日々学んでいる組織論や内省(リフレクション)の実践方法に関する情報、仕事で学んだことを不定期で掲載しています。また、エンジニアとしてキャリアを積んできた経験からITを使った自動化の情報等も掲載しております。
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優れたリーダーは内省(リフレクション)を活かす
優れたリーダーが兼ね備えているスキルに内省(リフレクション)があります。
この内省のスキルはリーダー自身が行う内省に加えて、内省を支援することを通じて他者を育むこと、内省を通じて変化を起こすこと(イノベーション)という3つの側面があります。この3つの側面については日本においてだけでなく、海外のリーダーも同じく備えているスキルであり世界共通のスキルであると考えています。ではなぜその様に考えるのかについていくつかの書籍の表現を拝借しながら説明していきたいと思います。
参考にした書籍はマネジャーというテーマで書かれたものとリーダーというテーマで書かれたものが混ざっていますが、ここではリーダーとマネジャーという言葉を広い意味でひとくくりのものとして捉えたいと思います。もちろん、厳密にはリーダーとマネジャーの定義は同じではありませんが、ここでは「組織を束ねている人」という意味で同じ様に扱いたいと思います。
では、まず今回参考にしている書籍を紹介します。もしこの記事を読んで興味を持たれた方は読んでみてください。
優れたリーダーは、なぜ「立ち止まる」のか ― 自分と周囲の潜在能力を引き出す法則
海外で多くのCEOに対してコーチングをしてきた著者ケヴィン・キャッシュマン氏が百人以上へのリーダーに対してインタビューを行い、その実績から見つけた法則まとめて整理した本です。比較的抽象度が高いので骨のある本ではありますが、優れたリーダーが内省に対してどの様に向き合い、どの様に活用をしているのかという視点が整理されている本です。
※立ち止まるとは「自分に対しても他者に対しても意識的に一歩引くプロセスのことである。それは、真正さや、目的意識や、検診性を伴って先へ進むことを可能にする」(ケヴィン, p24)と表現されています。
育て上手のマネジャーがどのように部下を指導しているのかに関して、8年の研究をもとに整理した本であり、内省についても部下育成の重要なテーマとして書かれています。
管理職3000名以上のサンプルをAI分析してわかったリーダーの習慣がまとめられている。内省についても自身の成長という視点、他者の成長という視点それぞれにおいて、トップリーダーの行動をデータに基づいて根拠を示してくれている実践的な本です。
上記の書籍を参考にしつつ、リーダーがどのように内省を組織に生かしているのかについて紐解いて行きたいと思います。
優れたマネジャーに共通した3つの特徴
まず、優れたマネジャーには3つの共通した特徴があります。
- 内省をすることで自己を育む
- 内省を支援することで他者を育む
- 内省を通じてイノベーションを育む
上記の特徴は「優れたリーダーは、なぜ『立ち止まる』のか」(ケヴィン, 2014)の中で中心的に語られている内容ではありますが、その論拠について他の書籍の内容も交えつつ説明できればと思います。こういった背景もあり(ケヴィン, 2014)からの引用が多めとなりますが、その点はご理解ください。
内省をすることで自己を育む
まずひとつ目特徴である「内省をすることで自己を育む」について整理をしたいと思います。
(ケヴィン, 2014)は、何人ものエグゼクティブに対してコーチングを行ってきた実績から、立ち止まることつまり内省をすることがパフォーマンスの向上につながるということがわかったと述べています。なぜそのようなになるのかについて2箇所引用をさせていただきます。
「立ち止まるとはつまり、意識的な変革へ向けて深くじっくりと問うことなのだ。(中略)立ち止まることで、内なる自分、自分の人格、自分の目的意識を内側から知ることができるだけでなく、私たちの周りで起こっていることも知ることができる。そうしてリーダーとしてのキャパシティ外広がり、活発に学ぶようになり、価値創造の効果が高まる」(ケヴィン,p48-p49)
「立ち止まって自己認識を得ると、次への扉がひらける。自己認識は、真正さや人格や目的意識への扉を開く。リーダーはその人格で人を率いるもんであり、自分をよく知ることは、リーダーとしの能力とパフォーマンスを向上させる鍵となる。」(ケヴィン,p80)
ここから言えるのは、立ち止まって内省をすることにより、人格の発達や目的意識が芽生え、リーダー自身の自己認知が明確になるということです。その結果として真正なるリーダー(オーセンティックリーダー)へと進化を果たし、組織に対してもパフォーマンスの向上が目に見える形で発揮されることになるのです。
また、(越川,2021)によるとトップ5%リーダーはリフレクションによって自己の改善を図る努力をしていると述べられています。また、具体的な行動として、振り返りの時間を予め予定の中に組み込んでおり、振り返りの行為自体を習慣化しているのだそうです。このようにトップ5%のリーダーにとっては自分自身と向き合い対話をするということは当たり前の習慣であり、それを継続し続けることによってパフォーマンスの向上へと繋げているというのが明らかになってきました。
(ケヴィン,2014)中で印象深い表現として「立ち止まることは、複雑なものの中から何が重要化を見つけ出すための、一見矛盾した、しかし革新的な力なのだ」(ケヴィン,p21)と書かれている箇所があります。これは日本語で言うところの「急がば回れ」という近いと思いますが、トップ5%リーダーと言われる人は振り返りの大切さを自覚しており、複雑な世界を歩んでいくためには立ち止まり内省をしながら進むことが実は最短ルートだということを肌で理解しているためそのような行動を取っていると言えるのではないでしょうか?
複雑な世界で以下に立ち止まるか
では、複雑な世界の中でどの様に立ち止まることが重要なのか?この点について(ケヴィン,2014)は7つの実践方法として整理しているのでここではその要点を記載いたします。
- 目的意識を持つ目的意識を持つことは個人や他者やイノベーションを育てる意義を与えてくれる。
- 問いかけ、耳を傾ける問いかけることは、学びの機会であり、個人にゃ人間関係やクリエイティビティの成長の源泉を掘り下げることである。耳を傾けることは、受容のために立ち止まることであり、新しい考え方やものの見方を知ることで複雑さの中から明確さを育てる培養器である。
- 挑戦するリスクを取る挑戦をすることは、失敗に向き合いそれを学びの機会にする勇気が必要であり、その果てに新しい価値創造の未来が作り出される。
- 内省し、統合する現実の出来事を分析し、判断し、その上で内省し、統合する。こうした行為が自己認識や他者理解が育まれイノベーションの扉を開く鍵となる。
- 内側から外側へ、外側から内側への力に目を向ける自分自身に対する内側への洞察と、他者や戦略に対する外側への洞察のバランスをとって立ち止まることにより深い成長の可能性が生み出される。
- 生成力を育てる他者が自分を超えていくことを助けるために立ち止まり、他者の成長に尽くすことで次世代のために準備をする。
- 真正なリーダーになる誰もが憧れる人間性を身につけることで、人を惹きつけ、他者からの協力が得られ価値創造につながる。
このように複雑な世界で立ち止まる際の実践方法を知っていれば、何が重要で何が重要でないかを立ち止まって判断するができ正しい道を進んでいくことができます。
先が見えない時代だからこそ、こうした指針をもって進み絶えず絶えず内省を繰り返すことにより自分の軸を確立することが大事なのだと思います。そしてそのたゆまぬ努力を通してのみ真正なリーダー(オーセンティックリーダー)への成長を遂げることができるのだと考えています。
※オーセンティックリーダーは(熊平,2021)によると「本物のリーダー」という意味で自分の強みも弱みも受け入れ、自分を含めたメンバーの多様性を活かすためのぶれない軸を持っているリーダーであると表現されています。
真正なリーダー(オーセンティックリーダー)になる
では真正なオーセンティックリーダーになるためにはどのようなことを考える必要があるのかについて再度(ケヴィン,2014)がどのように述べているのかを確認してみます。
「意識的に立ち止まって内省し、自身の価値観、信念、行動パターン、特徴、経歴を内側から振り返ることが大切だ。同時に、他者のフィードバックや考え方や知見を通して外側から振り返ることも重要である。『私』(内側)と『私たち』(外側)という視点を通して円環的に意識して絶えず考え続けることで、真の自己認識に近づくことができる。」(ケヴィン, p86)
「リーダーシップとは本来、領域を突破し続け、変化し続け、没頭しつつけ、心を広げ続け、人格を育て続け、目的を願い続けて超越するものである。」(ケヴィン, p126)
「リーダー自身の成長なしに他者の成長はありえない。企業のリーダーの成長は、組織のダイナミックな成長に直結するのだ。(中略)人格や、価値観や、目的意識や、超越や、真正さについての自己認識をしっかり持つことで、他者を成長の旅へと促すための確かな枠組みを得ることができるだろう。自分と自分の価値が育てば、他者の成長もついてくる」(ケヴィン, p157)
このようにオーセンティックリーダーになるためには、自分自身と耐えず向き合い、人格を育みリーダーとしての真正さを追求し続ける姿勢を持つことが不可欠だと言えそうです。そしてリーダーとしての価値観が育つことにより他者の成長も育まれていくという視点はなにより重要なメッセージなのではないでしょうか?
内省を支援することで他者を育む
ここまで内省をすることで自己を育むという視点で書いてきましたがここからは内省を支援することで他者を育むための視点について掘り下げていきたいと思います。
他者を育むための基本姿勢
優れたマネジャーの2つ目の特徴は自ら内省するだけでなく内省を支援することで他者を育む姿勢を持っていることです。その際にとくに大事になるのは傾聴と問いかけです。部下の話を丁寧に聴き、目線を合わせて内省を促す問いかけをする。こうした対話の積み重ねにより気付きを与え、成長を促していく姿勢がマネジャーに求められています。
この点について(ケヴィン,2014)は次のように述べられています。
「他者の成長を促すために立ち止まるとき、最も大切なのは問いかけと耳を傾けることの二点である。問いかけは、積極的に掘り下げようとする対話のあり方で、耳を傾けることは、相手を受け入れ促そうとする対話のあり方である。(中略) 二つのアプローチで互いに深く掘り下げていくことで、互いに新たな発見を掘り当てることができる。結果、学びは一方向なものではなくなる。それは、共感や信頼や協力関係を生み出す共同作業なのだ。」(ケヴィン, p160)
この表現の中で特に興味深いのは傾聴と問いかけを中心とした深い対話を行うことにより、双方向の学びが生まれるということです。他者の内省を支援する行為を通じてマネジャー自身も成長を促されると同時に、マネジャーと部下の関係性が強化されていきます。こうしてチーム内での地盤が形成され、内省を通じた変化(イノベーション)に繋がっていくのだと考えられます。
他者を育むマネジャーの特徴
では、他者の成長を育むマネジャーは具体的にどのように部下と関わり内省を促しているのかについて「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」(松尾,2019)の内容を参考に補強していきたいと思います。
関わり方の3つのポイント
(松尾,2019)は育て上手マネジャーは次の3つのポイントで育成をしていると述べています。
- 強みを探り、成長ゴールで仕事を意味づけ
- 失敗だけでなく、成功も振り返らせ、強みを引き出す
- 中堅社員と連携しながら、思いを共有する
ここでは内省と密接に関係している「失敗だけでなく、成功も振り返らせ、強みを引き出す」に関して掘り下げて確認していきたいと思います。とはいえ、「強みを探り、成長ゴールで仕事を意味づけ」「中堅社員と連携しながら、思いを共有する」に関しても学びの多い内容ですので興味を持たれた方は是非、松尾さんの著書「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」を御覧ください。
では、改めて「失敗だけでなく、成功も振り返らせ、強みを引き出す」という内容について、(松尾,2019)は育て上手マネジャーは部下の発言やデータを記録しておき、それに基づいて上手くいったことや成功したことを振り返り「なぜ上手くいったのか」を考えさせ、問題や失敗に対しては同じ目線に立って共に振り返り、次に成功できるようにサポートすることを通して潜在的な強みを引き出していると述べています。
内省の促し方3つのポイント
具体的に育て上手のマネジャーはどのような方法で内省支援をしているのか?(松尾,2019)は次の3つ特徴があると指摘しています。
- 成功失敗の原因を本人に語らせる
- 成功失敗のパターンを認識させる
- 成功しても、より良い方法を考えてもらう。
成功失敗の原因を本人に語らせる
いざ成功失敗の原因を本人語ってもらう際にポイントとなるのは、部下の振り返る力です。しかし、人によって振り返りをする力というのは上手い下手があり、上手く振り返ることができる人もいれば、上手く振り返れない人もいます。上手く振り返れないタイプの人に対して、どのような指導をしたら良いのかという点で(松尾,2019)は「ガードレール型の指導」というものを提唱しています。
※「ガードレール型の指導」とは
「『この点はどうなっているんだろうね?』などの方向性やヒントを与えながら考えさせる指導です。仕事を振り返る力が弱い人に対しては、ガードレールを狭く設定し、答えを出すギリギリ手前のヒントを出しながら、その範囲で走ってもらうことが有効です。そして、振り返る力がついてきたら、徐々にガードレールの幅を広くして、大まかなヒントやアドバイスにとどめて、自分の力で考えてもらうというアプローチになります。」(松尾, p.252, Kindle版)
このように育て上手のマネジャーは振り返る力が弱い部下に対しては、適度に方向性を示しながら自分の言葉で語らせるということを行っています。ガードレール型以外の指導方法として、線路型、放牧型という二つの指導方法が述べれれていますがここでは割愛いたします。詳しく知りたいという方は松尾さんの書籍を参照してみてください。
成功失敗のパターンを認識させる
続いての特徴は成功失敗のパターンを認識させるということです。
(松尾, 2019)によると、この特徴はビジネスの世界だけでなく、育て上手のスポーツ指導者も採用している方法だと言います。とくに良い成果を上げるためには「なぜ成功したか」を振り返ることが欠かせないことではありますが、それは調子が悪くなったときでも元に戻せる「リカバリー能力」を磨き成功の「再現性」を高めていると述べています。
さらに、(越川,2021)もトップ5%リーダーと一般的な管理職の違いを次のように考察しています。
「 失敗しても、成功しても、そのあとの上司の反応でメンバーを喜ばせることも、落胆させることもあります。チームのリーダーとしては、一時的な失敗や成功で一喜一憂するのではなく、成功を生み出す仕組みを作らないといけません。 そこで5%リーダーは再現性のあるパターンを作ろうとします。 そのため失敗したときは反省し、成功したときはその原因を探ろうとするのです。一般的な管理職は成功すると、その達成感に満足し、内省をしていませんでした。 5%リーダーは成功しても手放しで喜ぶのではなく、ほんの少しだけ険しい表情をして、『なぜ成功したのか』をじっくり探っていました。 プロジェクトが成功を収めた後に内省をしているのは一般的な管理職が3%であるのに対し、5%リーダーは41%でした。 (中略) 5%リーダーは、成功後に、なぜ成功したのか、その原因が発生したのはなぜか……とWHYを繰り返して成功メカニズムを探り、再現性を高めようとしているのです。」(越川 , p.151))
上記の内容は松尾氏の主張と一致していますね。つまり、優れたマネジャーは敗したときだけでなく、成功したときにも振り返りを大事にしており、成功のための再現性を高めようとしているというのが共通しているということがわかってきました。
成功しても、より良い方法を考えてもらう。
さらに育て上手のマネジャーは成功失敗のパターンを認識させるだけでなく、更に良くするためにはという視点で「同じ目線で問いかける」という方法をとっています。その際には部下が失敗した際も、感情的にならずにニュートラルに問いかけるということを意識しています。
(松尾,2019)は次のように述べています。
「多くのマネジャーが陥りやすい問題は、部下と一緒に振り返るとき、『なぜ失敗したと思う?』『これからどうする?』という形で、いきなり『評価』モードに入ってしまうことです。育て上手のマネジャーは、部下の行動や成果を評価する前に、入念な準備作業をします。それは、『何が起こったのかな?』『そのとき、どう感じた?』を問うことです。つまり、事実を確認してから、部下本人の感情を整理させた後に、『なぜそのようなことが起こったのか』『今後、どうすべきか』という分析・評価のステップに入るのです。」(松尾, pp.236-237 , Kindle 版)
つまり、部下の行動や成果を評価する前に、ステップを踏んで事実を確認し、本人の感情を整理させ、最後に分析・評価をするというに段階を踏んで対話を行うことで同じ目線で改善策の検討が進んでいくとことなのだと考えられます。
また、(越川, 2021)は下記の主張をしています。
「 トラブル対応や課題解決のディスカッションをする会議で、5%リーダーの発言をAI分析してわかったのは、『そもそも』『つまり』『もともと』『さらに』が多かったことです。 本質的な発生原因を探ろうとしていることがよくわかります。 5%リーダーは、メンバーにもHOWではなく、WHYを考えるようにコーチし、定期的な1on1ミーティングで、メンバーと一緒に問題の発生原因を考えています。 お互いに内省しながら、どこが問題点だったのか一緒にWHYを掘り下げます。 こうして思考の質を改善することで、その後の行動の質が改善していくのです。」(越川 , p.157 , Kindle版.)
このように、問題に対して原因となっている本質の部分について掘り下げ、どのようにすれば改善できるのかをお互いに内省をしながら検討するというプロセスを踏んでいます。その結果としてディスカッション後の行動が変化し、より根本的な問題解決へとつながるということが起きるということが言えるのではないでしょうか?
内省を通じてイノベーションを育む
内省するリーダーの最後の特徴は内省を通じて変化を起こしていくことです。これは言い換えると内省をすることでイノベーションが生まれるということです。
(ケヴィン, 2014)はイノベーションに関して次の主張をしています。
「イノベーションを生み出すための最も実践的で効果的な立ち止まりとは、しっかりと、集中して探求することー問いかけ、挑戦し、観察し、耳を傾け、評価することーであり、規律ある内省と行動をたえず繰り返すことなのだ。」(ケヴィン, p32)
「深く問うために立ち止まれば、現状維持ではなく破壊と挑戦を試みる能力が身につく。破壊を脅威と見なすのではなく、破壊がもたらす可能性を前向きに検討することができる。立ち止まって問うことで、学びとイノベーションが生まれる。」(ケヴィン, p51)
「イノベーションはまず自己革新という内的成長として現れ、それから、他者の、文化の、産業の、グローバルコミュニティのイノベーションとして拡大していく。」(ケヴィン,p215)
ここから考えられるのは、内省を通じて自分自身との対話を行うことで、視座が上がり、他者の視点、組織の視点、社会の視点へと目的意識が昇華されていき、イノベーションが生まれて育まれるということなのだと言えるのではないでしょうか?
実際に、八木(2010)は、内省経験が変革型リーダーシップに与える影響について経営者3,500人以上から得られた回答結果を統計分析し、内省経験が変革型リーダーシップへのポジティブな影響力を持つことを実証しています。このように内省経験と変革型リーダーシップとの間に相関性があるということは、ケヴィンの主張を裏付ける根拠になるのではないかと考えます。
まとめ
優れたリーダーが兼ね備えているスキルに内省があります。内省し自己を育み、内省を支援することを通じて他者を育む、その絶え間ない繰り返しによってイノベーションは生まれます。真正なリーダーになるためには内省を習慣化し自己認識や信頼性を高めていく必要があるということがこちらで伝えたかった内容になります。
Appendix(付録)
「内省とリーダシップ」について学びが深まるおすすめ書籍
- ケヴィン・キャッシュマン, 優れたリーダーは、なぜ「立ち止まる」のか――自分と周囲の潜在能力を引き出す法則, 英治出版, 2014
- 越川慎司, AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣 Kindle版, ディスカヴァー・トゥエンティワン,2021, 検索元 amazon.com.
- 松尾 睦,部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ Kindle版, ダイヤモンド社, 2019 , 検索元 amazon.com.
- 八木 陽一郎, 内省経験が変革型リーダーシップに与える影響:中小企業後継経営者を対象とした実証分析を通じて, 日本政策金融公庫論集, 2010.
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