あるプロジェクトに外部から参画したとき、最初にもらったオーダーは「監視の運用を整えたい」でした。

サービスは稼働中で、CloudWatchもログもダッシュボードも揃っています。障害が起きるのは数ヶ月に1回くらい。監視体制が崩壊しているわけではありません。ただ、なんとなく「ちゃんとやれていない気がする」という感覚があるようでした。

まずは現状を聞くところから始めました。


ヒアリングで出てきた課題感

話を聞いていくと、いろいろな課題感が出てきました。

どれも「やったほうがいい」ことではあります。ただ、事業フェーズ的に監視に大きく投資する段階ではない、という話もありました。今は開発優先。それは正しい判断だと思います。

そんな中で、ひとつ気になる話が出てきました。

「毎朝30分くらいかけて、手作業でいろんな画面を見て回っている」


30分の内訳を聞いてみた

深掘りしてみると、30分の大半は「考える時間」ではありませんでした。

AWSのコンソールを開いて、ダッシュボードに移動して、期間を変えて、別のサービスの画面に行って、外部APIのステータスページを開いて……。画面をあちこち渡り歩く時間だったんです。

情報は足りています。ただ、見る場所が散らばっている。

ここで、課題の見え方が変わりました。

「監視が足りない」ではなく、「監視の確認に手間がかかりすぎている」。もっと言うと、「毎朝30分、運用モードに頭を切り替えるのがしんどい」という話だったんですね。

最終的に、朝チェックの効率化に取り組むのがいいのでは、という方向性に落ち着きました。


でも、それで本当にいいのか

ヒアリングを終えて、少し立ち止まりました。

朝チェックを効率化しても、監視の「本質」は何も変わりません。アラート設計が甘いなら、それは別の問題として残ります。外部APIの監視が手薄なら、それも残ります。

「朝チェック効率化」って、本当に今やるべきことなのか。

自分の中で整理してみることにしました。


監視って何のためにやるんだっけ

監視の目的は何か。

突き詰めると、「ユーザーに迷惑がかかったときに、どれくらい早く気づけるか」だと思います。

そう考えると、アラート設計や外部API監視は「異常が起きたときに気づく仕組み」の話。一方、朝チェックは「普段の感覚を保っておく」話。役割が違います。

flowchart TB
    A[監視] --> B[異常時の対応]
    A --> C[平常時の対応]
    B --> D[アラート設計<br>外部API監視]
    C --> E[朝チェック]
    D --> F[壊れたときに気づく]
    E --> G[普段の感覚を保つ]

障害が少ない今のフェーズでは、アラートが鳴る機会は少ないです。でも、普段の感覚が鈍っていると、いざアラートが鳴ったときに「これ本当にやばいのか?」が判断できなくなります。

毎朝数字を見ているからこそ、「いつもの波形」が身体に入る。その感覚があるから、異常に気づける。

朝チェックを効率化するのは「手抜き」じゃないんですよね。感覚を保ちながら、続けられる形にするということです。


効率化の方向性

じゃあ、どう効率化するか。

30分かかっている理由は、画面を移動するコストでした。見る情報を減らすのではなく、見る場所を減らす必要があります。

過去に別のプロジェクトで、Jenkinsで毎朝レポートを自動生成してチャットに投稿する運用をやったことがありました。ジョブを作るのは大変でしたけど、一度作ってしまえば「届いたものを読むだけ」になりました。

今回も同じやり方が使えるかもしれません。

flowchart LR
    subgraph before[今:Pull型]
        direction TB
        P1[自分] -->|見に行く| P2[CloudWatch]
        P1 -->|見に行く| P3[ログ]
        P1 -->|見に行く| P4[外部API]
        P1 -->|見に行く| P5[コスト]
    end

    subgraph after[目指す姿:Push型]
        direction TB
        J[Jenkinsレポート] -->|届く| M[自分]
    end

    before -->|転換| after

ダッシュボードを見に行く(Pull)のではなく、まとめが届く(Push)ようにする。朝の確認を「1つの成果物」に集約する。


次にやること

方向性は見えたので、あとは進めていくだけです。ざっくりこんなステップで考えています。

  1. 今見ているものを棚卸しする
    何を、どこで、どういう順番で見ているのか洗い出す

  2. 毎朝見るべき代表値を絞る
    全部載せるのではなく、まず最低限のものだけ

  3. Jenkinsジョブを作って、チャットに投げる仕組みを作る
    最初はシンプルに。凝らない

  4. 運用しながら調整する
    足りないものがあれば足す、いらないものは削る

一気に完璧を目指すとたぶん頓挫するので、小さく始めて回していく感じですね。


今のところの整理

正直、これが正解かはわかりません。

ただ、「朝チェックの効率化」という方向性は、たぶんあってそうな気がしています。

監視体制の強化は、今のフェーズではコスパが悪い。でも、普段の感覚は鈍らせたくない。だから、感覚を保ちながら、続けられる形にする。そこに手をつけるのは悪くないはずです。


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