正直、こういうことを真剣に考え出すと止まらなくなるタイプです。
「アイスコーヒーをもっと楽に飲みたい」という、ただそれだけの話が、気づいたら品種論にまで広がっていました。
きっかけは「夏にゴクゴク飲みたい」だった
毎年夏になると、ハンドドリップでアイスコーヒーを作る気力がどこかに消えていきます。
お湯を沸かして、ドリップして、氷で急冷して……という工程が、暑い中のキッチンには思いのほかしんどい。
そこで気になり始めたのが、コールドブリュー(水出しコーヒー)という選択肢でした。
OXO Brew のコールドブリューメーカー。以前からレビューでよく名前を見ていたものです。
仕組みはシンプルで、コーヒー粉を水に漬けておくだけ。12〜24時間後に濃縮液が出来上がる。あとは飲む分だけグラスに注いで、水や氷で割るだけです。
「これだ」と思ったのは、作り置きができるという点でした。
週に1〜2回仕込んでおけば、あとは冷蔵庫から出すだけ。飲みたいときにすぐ飲める。
暑い日にゴクゴクいきたい、という欲求にこれ以上なく合っている仕組みです。
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「豆、どうする」問題が始まった
導入を決めてから、別の問いが浮かびました。
「今の豆の選び方、このままでいいのか?」
毎月、AGFの「ちょっと贅沢な珈琲店 スペシャルブレンド」を240g×3袋、定期便で買っていました。
1袋あたり約609円。1gあたり約2.5円。月に720g、約1,800円の計算です。
コールドブリューは1回の抽出に約175gを使います。ハンドドリップの1杯が10〜12gですから、1.5〜2倍の消費量になる。夏にゴクゴク飲むなら、使用量はさらに増えます。ここを見直す余地はある、と思いました。
選択肢はいくつかありました。
① 同じ銘柄の1kg版に切り替える
味は変わらない。単価は下がる。手間もない。
② 鮮度重視の選択肢
注文後に焙煎してくれたり、粗挽きを指定できたりする豆があると知りました。鮮度という観点では魅力的です。ただ、コスパを調べると今より割高になる。今回の目的は「コスパを上げること」だったので、ここは今回ではないと判断しました。
③ UCC ゴールドスペシャル リッチブレンド 1kg
Amazon定期便で約2,367円。コク重視の設計で、コールドブリューにも合いそう。
④ 山本珈琲館 ヨーロピアンブレンド 1kg
昭和25年創業の大阪の老舗メーカー。コストコでは1kg 約1,568円。
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「粗挽きじゃないとダメ?」という問い
選択肢を絞りながら、ひとつ気になっていることがありました。
コールドブリューは「粗挽き推奨」とよく書かれています。長時間水に浸けるので、細かすぎると過抽出になってエグみが出やすい。底のフィルターにも詰まりやすくなる。
今使っているAGFは中細挽きです。
粗挽きの豆を別途用意するか、それとも豆のままを買って自分で挽くか……。
ただ、ここで立ち止まって考えました。
「本当に粗挽きじゃないとダメなのか?」
調べてみると、中挽きでも浸ける時間を少し短めにすれば調整できることがわかりました。
12〜24時間のところを12〜16時間で試してみる。濃縮液を水やミルクで割るので、多少濃く出ても薄めればいい。そもそもコールドブリューは融通が利きやすい抽出方法です。
「粗挽きが理想だけど、中挽きでも工夫次第でいける」という着地点が見えた瞬間、選択肢の幅が少し広がりました。
であれば、今使っているAGFをそのままコールドブリューに転用することもできます。
コスパを上げたいなら、同じ銘柄の1kg版に切り替えるだけ、というシンプルな答えも成立する。
「どっちも大差ない」という壁
とはいえ、せっかくなら豆自体も見直したいという気持ちは残りました。
比較の俎上に残ったのは、ゴールドスペシャル リッチブレンドと山本珈琲館の2択です。
調べていくと、どちらも深煎り寄りでコールドブリューに向いていそう。価格帯もAmazon購入前提ではほぼ同じ。
ここで少し詰まりました。
山本珈琲館のレビューに「開封後に渋みが増す傾向がある」という記述を見かけて、最初はこれをマイナス材料として考えていました。でも少し考えると、それはおかしい。挽いたコーヒー粉は開封した時点でどれも酸化が始まります。山本珈琲館だけの話ではない。
この気づきで、2択の条件がほぼフラットになりました。
**「だったら何で選ぶか」**と問い直したとき、自分でも意外な答えが出てきました。
決め手は「どう飲むか」だった
スペックでも価格でもなく、最後に効いたのは飲み方の問いでした。
「自分は、コールドブリューをどう飲むのか。」
答えはシンプルでした。基本的にブラックで飲みます。
この一点で、選択がすっと絞られました。
山本珈琲館のヨーロピアンブレンドはアラビカ種をベースにロブスタ種を配合しています。ロブスタは苦みとコクが強い分、長時間水に浸けたときに雑味が出やすいという面もあります。ブラックで飲むなら、アラビカ100%の方が雑味や渋みが出にくく、仕上がりがクリーンになりやすい。
ここで初めて、アラビカとロブスタという品種の違いが「スペックの話」ではなく「自分の話」になりました。
UCC ゴールドスペシャル リッチブレンドに決めました。
「どう飲むか」が決まると、他のことも決まる
振り返ってみると、今回の思考にはひとつのパターンがありました。
最初はコスパを軸に比較を始めた。でも、粗挽き問題でいったん立ち止まり、「中挽きでも工夫できる」という気づきで選択肢が広がった。開封後の劣化問題では、「これはどれも同じでは?」という問い直しで比較軸がリセットされた。そして最終的な決め手は、「自分はどう飲むか」というシンプルな問いでした。
スペックの数字は比較を始めるための道具にすぎなくて、「自分はどう使いたいのか」が決まらないと、どれだけ情報を集めてもすっきりしない。
コーヒー豆の話ですが、他の選択でも同じだなと思いました。
たくさん比較することより、先に「自分はどう使いたいか」を決めた方が、比較の時間が短くなる。
夏が来る前に仕込んで、あとは冷蔵庫から出すだけの生活を試してみようと思います。